アイビスSDで内ラチ沿いを激走したバカラクイーンについて
夏の新潟の風物詩、アイビスサマーダッシュ。
直線1000mにスピード自慢が集結するレースで、
競走馬と並行して走るカメラワークも、臨場感があって良いですよね。
ゴールが分からない演出も、はらはらドキドキの興奮を誘います。
そんなアイビスサマーダッシュで、今年は珍事件が起きました。
そう、0.3秒差の3着に入ったバカラクイーンです。
普通は馬場の良い外ラチ沿いに馬群が固まって走るのですが、
圧倒的に不利と言われている1枠1番に入ったバカラクイーンは、
内ラチ沿いを一直線に激走。
他の馬たちが外へ群がるのを尻目に、
ズドーンと直進する姿が、かなりレースを盛り上げてくれました。
いつも千直のレースをみている人にとっては、
違和感しかない光景でしたが、よくよく考えれば開幕週ですからね。
荒れていない走りやすい馬場を求めて外ラチ沿いに寄るのが普通。
でも開幕週で内ラチ側があまり荒れていないのであれば、
ナナメに進んで距離ロスを喰らうより、まっすぐ進んだ方がトクなんじゃないか?
なるほど。
これは盲点でした。
ネットの記事を読んでいると、
この作戦をバカラクイーンの鞍上、菅原明良騎手に託したのは武井亮調教師。
「上位の馬とは力差があるので、“真っすぐ走ってこい、
レース後に叩かれたら調教師のせいにしていいから”と伝えていた」
いやー責任を取る男らしさに加えて、頭がいいですね。
「新潟直線1000m=外ラチ沿い」
という常識をひっくり返す発想に、私は本当に感心しました。
バカラクイーンは単勝130倍の14番人気ですから、
調教師と騎手のファインプレー以外、何ものでもないでしょう。
開幕週は内ラチ沿いも行けるぞ!
という新潟千直の新しいトレンドになるかもしれません。
そこで後追いではありますが、
新潟千直の内枠について、私なりに調べてみました。
まずは新潟千直の枠順別の成績です。
これは3年半分のデータですが、
総勝利数が88勝で、7枠と8枠で47勝と半分以上を占めています。
反対に1枠と2枠は合わせて、たったの6勝と壊滅的ですね。
とりあえず5枠から外を買ってれば、だいたい当たるのが新潟千直の特徴。
このデータは、どこかで見たことがあると思います。
では次に1枠、2枠のデータだけを抜き出して、
開催日別の成績を見てみましょう。
お分かりいただけるでしょうか?
1~2枠の成績は、
1着6頭、2着15頭、3着11頭で、計32頭が馬券に絡んでいます。
そのうち開幕週(1~2日目)は、11頭が出現。
さらに開催5日目までに、23頭が出現しています。
つまり1~2枠でも開幕週なら、少しは勝負になるということ。
反対に開催が進むにつれて、内枠はチャンスが減っていく。
アイビスサマーダッシュの武井亮調教師の読みは、
まさにこのデータ通りだったわけですね。
いやー勉強になりました。
武井亮調教師、素晴らしい題材ありがとうございます。